憧れるのは自由だがなりきりはやめろ
多分皆さんの周りにもいると思うんですけど、例えば最近引退宣言したイチローに憧れてイチローの言動とか態度を真似る人とかいません? 私そういう人があまり好きではないのですよ。
イチローのようになりたいのであれば、コツコツと毎日野球の練習をして、徐々に実績を残していけば、ああ、この人はイチローのような凄い人なんだなぁとなります。
しかしですよ、これが野球の練習どころかバットも握らない、グローブも手に取らない、走り込みもしなければ日焼けを恐れて外にも出ない人間が、いきなりイチローのような言動と態度をとるわけですよ。
血管ちぎれるレベルで腹たちません?
もしかしたら、そんな人は見たことがない。もしくはそんな人間いるはずがないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
でもね、いるんですよ。そういう過程をすっ飛ばす人間が。
私の身の回りで言えば、有名なバキシリーズに出てくる花山薫という登場人物に憧れた人がいましてね。バキシリーズを知らない方には申し訳ないのですが、これがすごく力強い人なんですよ。どのくらいかと言えば、車をひっくり返したり、電話帳を引きちぎったり、五百円玉を真っ二つにしたり……とにかく規格外の怪力の持ち主です。
こんな感じの人です。その怪力を持ち合わせつつ、身内や弱者には優しかったり、武器を持つ相手にも必ず素手で立ち向かったりと、キャラクターとしての魅力も持ち合わせており、バキシリーズの中でも屈指の人気キャラです。
さて、ここで質問です。もし、運動のうの時もせず、腹が出ていて、常に相手の粗を探すような人間が「おい」とか「あ?」とか「こちとら喧嘩師」とか言い出したら、どう思いますか?
私は舌打ちをします。
いやいやいやいやいやいやいやいや…………身の程を弁えろよ。お前は花山薫どころかチンピラですらない勘違いデブだろうが……。こう思いますね。
なんでこんな人間が生まれるのか、私は長いこと考えていたんですが、恐らくこれといって真剣に物事に取り組んだことがない、熱中出来るものがなかったのではないかと最近答えが出ました。
一見繋がりがないように感じるかも知れませんが、想像してみてください。仕事にしろ趣味にしろ、真剣に取り組んだ時に、まずはどうすれば上達するのか考えますよね? その際、仕事なら尊敬出来る上司または先輩、趣味ならその道の著名人等を参考にするわけです。
私の場合は筋トレがそれに当たりますので、筋トレを例えに話を進めます。
私は世にいうガチムチマッチョというものに憧れていまして、それを目指す上でサイヤマングレートという筋肉系youtuberを参考にしています。
この方の動画から、私は超回復や減量期、増量期という単語を始め、筋トレに最適な食生活等、様々なことを学びました。
その結果、この程度までは筋肉が着きました。どのように見えるかは各人に任せるとしまして、ここまで筋肉をつける上で様々な発見をすると同時に、ボディビルダーとして活躍する人々がどれだけ努力しているのかが分かりました。
しかし、筋トレをしていない、もしくは興味が無い人からすれば、ボディビルダーの筋肉を見て「すごくでかい」「汗臭そう」等の感想しか出てこないでしょう。
別段それが悪いわけではありません。私が言いたいのは、最初に言った憧れるあまりなりきってしまう人というのは、恐らく努力を知らない人々なのではないか、ということです。
またボディビルダーで例えるなら、ボディビルダーの肉体は凄い。しかしそこまでの体になる方法を知らないorそこまで努力をしたくない。なら、一番楽な態度や言動だけでもボディビルダーになってしまえば良い。こういうことが起きているのではないかと思います。
いやー文字に起こしてみると、なんだか可哀想になってきますね。同情はしませんけど。